# FX上達のヒント 裁量トレードにおいて、テクニカルを使う意味とは? その1
2010.10.31 Sunday
トレードにおいて、テクニカルとは何でしょうか?
「それは、相場状況の判断や、エントリーポイントを見抜くために必要なものだろう」
と答えると思います。それは、確かにそうです。
しかし、裁量トレーダーの私からの見解は、少し違います。
「テクニカルとは、FXがうまくなるまでの補助輪である」
ということです。
確率的・裁量トレード入門でも書きましたが、
たとえば、優れた金型職人は、
何の道具も使わずに自分の経験でそれを作り上げることができます。
最後の確認に測定器を使ってチェックをするだけです。
たとえば、名人と呼ばれる料理人は、
計量器は使いません。塩コショウ醤油などの調味料は目分量で入れますし、
入れるタイミングも独自の経験からくる勘となります。
それと同じく、優れた裁量トレーダーは、
何のテクニカルも使わずに、ただロウソクチャートを見ただけで、
今の相場がトレンドかレンジかを見抜くことができるし、
どこが優位性の高いポイントなのかわかるはずです。
大勢の人が勘違いされているのが
「特定のテクニカルの組み合わせにおけるサインが必勝法になりえる」
という思い込みです。
しかし、相場にはサイクルというものがあり、
進行パターンやボラティリティなどは常に変化をしているわけですから、
一時は通用しても恒常的に通用する必勝法などはありません。
そうした中でテクニカルを使う意味とは何なのか?といえば、
・FXが上手くなるまでのガイドラインである
・最終的なエントリータイミングを判断するための確認用のモノである
ということです。
FXをはじめたばかりの人は相場観が身についていないので、
自転車の補助輪のように、相場状態を把握する手助けとなるテクニカルが必要です。
テクニカルを表示して相場を眺めていくことにより、
チャートの観察経験の蓄積速度は増していきます。
RPGゲームでたとえると、
経験値の収入が倍になるようなアイテムと同じことで、
それを常時使うことで、チャート観察経験値はどんどん溜まっていきます。
そして、あるレベルに達すると、
テクニカルというのは必要なくなります。
それを表示しなくても、ロウソクチャートを見ただけで
優位性のあるポイントが見抜けてしまうからです。
(ロウソクもテクニカルの内ですが、まあそれだけはチャート表示するのに必要ですね)
私の場合は、別にテクニカルを表示しなくても、
「いまMA10ぐらいに当たっているな」とか、
「ボリンジャーバンドの2σ地点だな」とか、
「RSIの70%ぐらいだな」などは、
見なくても感覚でわかります。
さらにいうと、チャートを見ていなくても、寝ているときに
「今相場状態はこんな感じになっていて、MA10に押されているところだろうな」とか、
「朝ぐらいにはRSIの買われすぎぐらいにくるだろうから売ろうかな」
というような勘も働くようになってきます。
このような状態になれれば、テクニカルというのは、
最終的な確認用といった意味合いになります。
なお、私が特別というわけでもなく、
四六時中1年間もチャートをしっかり見ていれば誰でもこの状態になってきます。
※ちなみに、
専業の人はそういう状態にあるから、初心者の方が専業の方から意見を聞いても、
いうことが感覚的で理解があまりできない・・・というわけです。
また教えてもらっても、自分の経験がない状態だから上手く実践することはできません。
これを私は「相場観」といっていますが、
裁量トレードでは、相場観が身につくような状態を目指すことが大事というわけです。
つまり、テクニカルとは相場勘を身に着けるための補助的な道具であり、
トレードの勝ち負けを決めるような道具ではないということです。
裁量トレードを目指すのであれば、
そのあたりをよく理解して励んで頂ければと思います。
だから最初はその経験を積むためにもデモでやって、
相場観が働くようになってから実戦に入るべきです。
しかしながら、FXはお金儲けが目的なのですから、デモをやる人は少数です。
結果、経験が溜まる前に資金が尽き果ててゲームオーバーとなってしまうわけです。
テクニカルを絶対条件でエントリーしたいということであれば、
自分が選手とならずに、機械に選手をやらせて自分が監督になる
システムトレードや自動売買が向いていると思います。
あともう一点、
「ある有効な手法があったとしても、
見ている画面や使う業者によって、テクニカルの表示(MAの傾きの角度など)
は異なってくるから、誰でも同じようにエントリーはできないのではないか?」
というような疑問を持っている方も大勢いるかもしれません。
これについては、特に問題となるようなことでもなく、
考え方を変えることで解決するのですが、
長くなったのでそのあたりは、また後日に書こうと思います。
レンジ・トレンドのガイドライン的な判断方法なども書いていこうと思います。
| - | - | 11:26 | category: FX上達のヒント(コラム) |