# 書評 「群れはなぜ同じ方向を目指すのか? 群知能と意思決定の科学」
2012.09.29 Saturday
先週の読売新聞の書評欄でも紹介されていた、複雑系科学の新刊を紹介します。
私自身、複雑系科学というのを信奉しています。
物事は拡大して、引いた視点で見ると
そこに何かしらのルールが存在しているというのが複雑系の考え方です。
たとえば、生命の個体数というのは、決まっているそうです。
人口は最初は爆発的に増えていくものだけど、一定数を超えるといきなり乱高下しだして
激減し、やがては種の存続に適した数に調整されていくそうです。
具体的には戦争や飢餓や疫病などが起こって自動調整されていくのでしょう。
そう思うと、広大な視点から見ると人間がやっていることは、
いい事も愚かなこともひっくるめた上で、すべて無駄がないことなのかもしれません。
このように背景にある何かしらのルールを探っていくのが「複雑系科学」ですが、
群れの知能をテーマにした本書は、トレードをやる我々としてもとても興味深いものです。
本書では群れの考え方を科学的に考察していて
群れは個体をしのぐ知能を身につけるという主張を展開します。
特にうなづけるのが、
個人よりも集団のほうが正確に予測できるという現象です。
本書でも紹介されていた研究ですが、
たとえば、ガラス瓶に一円玉をたくさんいれてそれを1000人くらいの人に見せて、
個別に「何枚入っているか」を当ててもらいます。
人によって540枚、845枚、943枚・・・
というようなバラつきがあるでしょうが、
それを集計して平均値を出すと、その値はほとんど誤差なく当たるそうです。
つまり、個人よりも集団のほうが知能が上であるということです。
この考え方は、市場予測などにも応用できそうで、
「明日0時のときドル円は、いくらになっているか?」
というような質問を10000人くらいに聞いて、
その中央値を取れば、かなり近いものがでるのではないかとも思うわけです。
よくFX会社が来月のドル円のプライスを当てた人に商品をプレゼント
というキャンペーンをやっていますが、
応募者全員の平均値を取れば、けっこう当たっているんじゃないのかな?と思います。
そのような方法で投資判断を行っているところもあるのでしょう。
ただ、この実験のケースでやってはならないことが
「相談」だそうです。
必ず自分ひとりで考えた数を言うことがミソだそうで、
他人に相談すると、群れの知能や予測力がガクン落ちてしまうそうです。
これが不思議なところであり、
自分ひとりの力で考えたことが、結果的に集団の決定に貢献するということです。
選挙なども、人に相談はせずに
先入観なしで自分の考えのみで純粋に投票すれば、
群れの知能が最大限活かされて、一番いい結果をもたらすのでしょう。
とまあ、そのような群れの知能についての考察があり、
市場も人間の群れでできていますから
トレードするにおいてもいろいろ参考になると思います。
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