# FX上達のヒント 改正NEO性格判断でトレーダーの性格をチェックする
2014.10.28 Tuesday
評価:
ジェイソン・ウィリアムズ,ラリー・ウィリアムズ パンローリング ¥ 4,104 (2013-09-14) |
パンローリング社からはたくさんメンタル関係の本が出ていますが、
この「メンタルエッジ」という本は、自分を知るために役立つ本です。
有名な投資家ラリー・ウイリアムズの息子の精神科医が書いたものです。
この本では、改正NEO性格判断というのを用いて
トレーダーの長所や欠点をアドバイスするものです。
この性格判断には、私も衝撃を受けました。
心理性格の判断というと、みなさんは血液占いのような
適当で漠然としたイメージを抱くかもしれません。
しかし、この性格判断は違うのです。
自分がどんな性格で、どんな価値観をもっていて、どんなヤツなのか?
というのがハッキリと自覚できるのです。
友人や会社の社員にこれをやらせれば、
その性格や資質をハッキリと把握することができるでしょう。
これは最強の性格判断方法といっていいと思います。
この性格判断は五つの因子(心理学用語ではビッグファイブといいます)によって決まります。
・神経症傾向(N)
・外向性(E)
・開放性(O)
・調和性(A)
・誠実性(C)
の五つからなり、その頭文字をとって、NEOAC検査とも呼ばれています。
・神経症傾向(N)
不安や敵対心や自意識に対するチェックです。細かいことを気にしてくよくよしたり、些細なことで怒ったりするタイプは、これが高い点数になります。低い点数は逆に鈍感な性格となります。
・外向性(E)
人との関わりを示す交流の度合いです。高い点数ほど外向的な性格で、低い点数ほど内向的な性格になります。
・開放性(O)
これは想像力や独創力の度合いです。高い点数ほど独創的で奇抜な考えを行います。低い点数ほどそのようなことは考えず保守的な性格になります。
・調和性(A)
素直かどうかを問う度合いです。高い点数ほど素直に人の意見に従い、低い点数ほど人に反発をする議論や争いを好むようになります。
・誠実性(C)
秩序や規律を問う度合いです。高い点数ほど計画性を重視することを考えます。低い点数ほど無秩序になり行き当たりバッタリで判断します。
各項目はさらに細かく分かれており、その質問ごとに「かなり高い」「高い」「低い」「かなり低い」の4段階で判定されます。たとえば神経症傾向(N)のチェックでは、不安度、敵意度、自意識度、衝動性度、傷つきやすさ度などの項目があり、それぞれにおいて「かなり高い」「高い」「低い」「かなり低い」を判定します。
その判定で重要視するのは、極端な結果です。各項目で「高い」「低い」というのは許容範囲であるのですが、「かなり高い」や「かなり低い」が出たときは要注意ということです。
たとえば誠実性(C)の項目について、慎重さ度の項目があります。ぱっと見は高いほうがいいに決まっているように思うでしょう。確かに「高い」判定では「用心深く意図的に行動する」となり、「低い」判定では「性急で 結果を考えずに行動する」となるので、これは高いほうが望ましいでしょう。しかし、「かなり高い」になると「起こり得るすべての結果を熟考して判断が間に 合わなくなったり、決断ができなくなったりする」となり、石橋を叩いた挙句に壊して渡れなくなるというタイプとなってしまいます。判定ではこのように「かなり高い」や「かなり低い」に注目をしていきます。それはその人の目立った特徴であるからです。
また、各結果をクロスさせることで、その人の性格スタイルが決定されます。たとえば幸福スタイルでは、神経症(N)と外向性(E) をクロスして判定します。外向性が低く、神経症が高い場合はなんでもネガティブに考える「憂鬱な悲観者」となります。逆に外向性が高く、神経症が低い場合 は「陽気な楽観主義者」となります。両方高い場合は「過度に感情的」となり躁鬱な性格となり、両方低い場合は感情反応が低い「控えめ」な性格になります。 このように因子をクロスさせることで自分のスタイルが細かくわかるようになるのです。
で、ここからが重要ですが、この本の優れていることはこの検査を有能なトレーダーたちに行ったことです。有能なトレーダーはどういう性格をしているかが知りたいところでしょう。
その結果は意外なもので、すべての数値が平均的であった。ということです。
ただ傾向があるとすれば、おおむね神経症(N)が低いほうがいいとされていますが、絶対的なものではありません。たとえば不安を感じない性格といえば、「プレッシャーを感じないから、トレードに優れた性格だろう」と考えるでしょう? しかし、この不安がかなり低い人は、危機感がまるでないという状態にもなるのです。リスクに鈍感ということです。だから一概に不安が強いのが悪いというわけでもないのです。
重要なのはこの性格判断を用いて「自分はどんなヤツなのか?」というのを客観的に理解することです。「自分は敵意がむき出しでカッとなりやすい性格だから、人の意見を聞くときは辛抱強く穏やかに振る舞おう」とか、「自分は規律がまるでない性格だから、日々のスケジュールをしっかり決めてそれをこなすことを目標にしよう」とか、改善策を考えることが重要なのですね。
というわけで、理想的なトレーダーというのは、度の超えた性格を理解して、そのムラを改善しているトレーダーというわけでもあると思います。
ところで私もこの巻末の付録で自分の性格をチェックしてみたのですが、ラリー・ウイリアムズのケースと同様に開放性(O)はかなり高いことがわかりました。私はチャートを見てこれからどうなるとか、このように動くだろうという想像力を働かすことについては適正があると自覚しているのですが、秩序度を測る誠実性(C)については今一つだと思います。つまり、チャートを読むのは得意だが、リスク管理はやや甘いところがあるというのがわかります。レバレッジの高いリスクある取引は控えて、スイングトレードにシフトしたほうがいいということがよくわかりますし、実際私も自分の弱点を理解してそのように相場に適応しているというわけです。
な お、改正NEO検査というのは、日本ではNEO-PI-R検査などとも呼ばれていますが、残念なことにこの検査を受ける術がありません。ネットなどで チェックするところもありません。検査キットを販売している業者がありますが、教育関係者や会社でないと手に入らないと思います。これを用いて学生や社員 を判断するために使うものなので、一般人には販売していません。が、この本の巻末には簡易的な判断リストがついていて、これを読むだけでも参考になると思 います。
※ご参考になったら押してあげてください↓
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