前回のメルマガでは、専業トレーダーの肩身の狭さについて書きました。
トレーダーという職業は「お金」は得やすいが、人からは認められにくい。
だから孤独になりやすく、幸福感を満足に得ることができず長続きしない。
では、トレーダーを続けながら長く幸せに暮らすにはどうすればいいか?
どのようにして、この浮世離れした仕事と付き合うべきかについて話しましょう。
●トレードの仕事を他人に認めてもらうことは可能か?
トレードでお金を得て、さらにそのことを
他人に認めてもらうにはどうすればいいでしょうか?
ひとつはトレードを通じて、
他人に役立つことをすることです。
つまり、トレーダーになりたいと思う人に、自分のノウハウを教えること。
今風にいえば「シェア」することです。
そうすれば、シェアした人から感謝されて、
自己愛を得ることができる・・・はずです。
また、トレーダー同士でコミュニティを持てば、
お互いに共感をすることができます。
トレーダーというのは孤独ですから、仲間に飢えているはずです。
日ごろ人に言えない悩みを打ち明ける場を持つことも
共感の自己愛獲得につながる・・・はずです。
しかし、これらの方法は、みなさんにはオススメしません。
というのも、トレードには「お金」が強く絡んでいるからです。
「お金」は人間関係を破壊する強い力を持っています。
「お金」の要素が強い関係においては、
簡単に人から認められないし、尊敬されないし、共感もされないからです。
だからスムーズに自己愛を得ることが難しいのです。
たとえば私はこうしてノウハウを人に教えることを実践していますが、
やってみてよくわかりましたけれども、
この方法による自己愛の獲得は容易ではありません。
「お金」が絡むと人は打算的になります。それは当たり前の話です。
そんな中では他人からストレートに感謝されることは稀なのです。
トレーダー同士でコミュニティを作ったり、オフ会をやっても、
おそらくまともに認め合ったり、共感したりはできないはずです。
「今年は100万円負けてしまったよ」と打ち明けて、
「えー、負けてるの? 俺は300万勝ったんだけど。
確定申告とかどうしようかと悩んでいるんだよ」
といわれれば、そこで妬みが発生して、
その時点で、コミュニティの人間関係は崩れます。
負け組が素直に勝ち組に共感をすることは無理でしょう。
●トレードの仕事は、ただの「お金」稼ぎとして割り切る。
というわけで、専業トレーダーであることをカミングアウトしたところで、
素直に認めてくれる人はいません。
それだけ世間のトレーダーに対する認識は良くありません。
NHKの連続ドラマ「まれ」で、主人公の希の弟が、
就職をせずにデイトレーダーを目指す道を選択しましたが、
家族大反対で、いかにも危ないイメージで描かれていました。
国民的ドラマがそのように描いているわけですから、
世間に対するデイトレーダーのイメージも、また同じに違いないでしょう。
なので、専業トレーダーの人も、
世間に理解されないことはよくわかっていますから、
自分の仕事を公にカミングアウトする人は少ないです。
サラリーマンの中には、仕事はただの金を稼ぐ手段として
ドライに割り切っている人もいると思いますが、
専業トレーダーも普通はこのタイプでいくことになります。
トレードはあくまで仕事として、自己内で完結させる。
バイト感覚で「お金」を稼ぐことだけを目的とする。
トレードの仕事を通じて、人に認められようとか、
人に感謝されようというのは一切考えない。
トレードの喜びや苦しみも、また誰にも話さない。
ただただ、儀式のように淡々と粛々とやる。
淋しいですが、ひっそりとこっそりやる。
それが専業トレーダーの処世術です。
では、人から認められたり、
人と共感したりするのは、諦めるのでしょうか?
いいえ、それはあくまで別の方法でやればいいのです。
●トレードの仕事とは別にライフワークを持ち、そこで人に認めてもらえばいい。
つまり、トレードを本業として、副業を持つということです。
トレードで稼いだお金で副業をやる。
それは人から認められやすく共感を受けやすいものを選ぶ。
たとえば副業でちょっとしたお店を経営するのもいいでしょう。
美味しいカフェを経営すれば、地元の人から感謝されます。
そして何か事業を持てば、あなたの肩書はトレーダーではなくなります。
「なんの仕事をされているのですか?」
と聞かれたら、
「駅前にある○○というカフェを経営しています」といえば
「え、あそこの社長さんなんですか!」と一発で人に認めてもらえるでしょう。
こちらの方が専業トレーダーです、なんていう
ややこしい説明をして、怪訝な顔をされずに済みます。
もちろんカフェは一例です。
自分の経験がある仕事を別に持つということです。
専業トレーダーをしながら、せどり商売をやる人もいますが、
できるなら交流のないIT空間で終わらせずに
バイトを雇ってお店を出すのもいいんじゃないでしょうか?
小規模ならそんなに難しいことでもありません。
それとここがミソですが、
専業のトレードで稼げば、別に副業は稼がなくていいのです。
副業は趣味レベルでもいいのです。
よく住宅地の中に小さなブティックがあるでしょう?
こんな立地で儲かるのかな?と思うものですが、
ああいう商売は、稼ぐためにやっているわけではないのですね。
服が趣味のお金持ちの主婦が、
採算度外視で人と交流するためにやっていたりするのです。
儲けはお小遣い程度で良しとして、
地域のコミュニティとつながること自体が報酬なのです。
副業が難しいのであれば、ボランティアや寄付でもいいでしょう。
ボランティアにいけば、他人から簡単に認められますし、
たくさん共感することもあります。
あっという間に自己愛は満たされるはずです。
寄付も同様で、地元の野球教室にでも用具を寄付すれば喜ばれます。
寄付した人たちからは認められて、自己愛も高まります。
それに寄付は税金対策にもなります。一石二鳥です。
そう、人からお金を受け取るより、あげるほうが感謝される。
もしくは、お金が絡まないほうが、自己愛は得やすいのです。
寄付やボランティアは、その点において秀でています。
それもちょっと・・・というのであれば、
あとは趣味のサークルに入るのがいいでしょう。
その際には自分がなるべく得意としている分野のサークルに入るべきです。
自分が得意なものや向いているものを選ばないと、
他人から認められにくいので、モチベーションが続かず長続きしません。
たとえば下手な絵を上手くなりたいからといって、
絵画教室に通うのは実はよくないです。
元々向いていないことをやっても、それは平凡な成果にしかなりません。
どこか抜きんでたところがないと、周りの人は褒めてくれない、認めてくれないから、
自己愛の獲得が難しいのです。
絵の心得がある人がもっと絵がうまくなりたいから絵画教室に行く。
そちらのほうが簡単に皆から一目置かれ、褒められたりするものでしょう。
それに技量の同じ人とは共感して切磋琢磨しやすいですし、
また技量の低い人に教えることで自尊心も保たれます。
だから、趣味は自分の得意なものを選びましょう。
さらに尊敬できる先生を持てば、その先生を通じても自己愛を得られます。
他人から承認され、他人を尊敬し、他人と共感する、
一石三鳥で自己愛を育めます。
専業トレーダーとして軌道に乗れば、時間を持てるようになります。
まるで定年退職してリタイアした人のように。
しかし、そこで遊び暮らしても、決して幸せにはなれません。
夜な夜な退屈しのぎにパーティーをする貴族のような虚しさでしょう。
消費が消費を呼ぶ、享楽が享楽を呼ぶ欲望のサイクルには嵌らないことです。
そこには幸せはありません。
ぜひ、トレードにより自由になった時間と稼いだお金で、
あなたのライフワークをしてください。
つまり、トレードとは、
あなたのライフワークを実現するための手段に過ぎないということです。
副業、ボランティア、趣味のサークル。
どれもがライフワークにできるはずです。
そのライフワークを通じて、コミュニティと交流して、
そこで人に認められ、人を尊敬し、人と共感する。
それによって、自己愛を高めて幸福感を得る。
それが、専業トレーダーが心身共に幸せになるための方法です。
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