「FX意識改革」ブログ

 2009年からFXのトレードについて真面目に解説しています。
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# テクニカル解説002 ブレイクポイントを見定めてからロングで乗る
この記事を書いている現在は3月30日の深夜2時です。

先週からEUR/USDの相場状況を観察していて昨日あたりから値が固まってきたので、今夜くらいにそろそろ大きな値動きがあるのでは・・・という予感があり起きて相場の様子を見ていたのですが、先ほどイエレン議長の発言をきっかけに上昇が始まりました。前回の続きになりますが、ブレイク相場のよい参考のチャートになりますので、触れておきたいと思います。


前の記事でEUR/USDの4時間足は抵抗線を抜けてきたら、また買っていきたいと書きました。移動平均線で見るのであれば、ピンクの線がちょうど抵抗線として機能していたことがわかります。aのポイントでピンク線を抜いてきたので、ここからは回復基調になりそうなことは、すでに予見できるでしょう。なので、もし売りを仕掛けていたのならaの時点では撤退すべきです。ただ、aの時点ではまだ買えるという状況でもありません。

というのも前回続いたトレンドラインを一旦割り込んでしまったために安心して買える状況でもなく、aの場面では「落ちなくなってきて回復しそうだけれどもまだ確信は持てない」という状況です。また、aの時点ではボリンジャーバンドが収縮していました。ボリンジャーバンドが収縮している場面は、ブレイク前の嵐の前の静けさといった場面で、これから動き出すのを見守りたいところです。そしてbで強い陽線が出ました。bの陽線は直近30本の中では一番大きいものです。よって、世界中の人がこの陽線を買いの材料視にするでしょう。

また、このときのテクニカルを見ると移動平均線はゴールデンクロスをしていて、売りの場面から買いの場面に切り替わったことが伺えます。しばらく買いが強まりそうなことはわかるでしょう。ただ、RSIを見ていると少し気がかりではありますね。それはRSIが70%に到達しているから「ここで利食いが起こって値が崩れるのではないか?」と思えるからです。でも、ブレイクが起こりつつある相場では、RSIよりも移動平均線やボリンジャーバンドを重視しましょう。

特にボリンジャーバンドの2σの先端(まるで囲んだ部分が)が花のつぼみが開くようになってくると、これから大きく動き出すサインです。このようなまさに勢いが出てきたところでRSIを手掛かりに逆張りしてしまうと大けがをしやすいのです。また、このチャートをaの手前から買っている人たちは、下がらなくなってきてから再上昇が始まったので「これからもっと上がりそうだ」と判断しているはずです。ロングを持っているトレーダーとしては、これはすぐに利食いたい場面でもないのです。強い陽線が出てきたからホールドしていきたい場面でしょう。といったところを勘案するとRSI70%に到達していますが、ここではRSIを手掛かりに逆張りの売りは持ちにくいです。むしろさらなる上昇を考えて順張りで対応していきたい相場状況になります。

どこまで進みそうかといえば、まずは直近の赤線の水平線のレジスタンスラインまでは進みそうでしょう。買い手としてはここが利食いの候補地点となります。売り手はここから売りを仕掛けるのも考えられるのですが、勢いが出て来てレジスタンスラインを突破するとさらなる大きな上昇もありえるので、上がってきたときは売りは怖いでしょう。そこまで進んだら今度は日足基準でブレイクが起こる可能性があり、さらに買いの攻勢が続きやすくなります。

なお、EUR/USDのチャートが上昇するということは、つまりドル売りということです。USD/JPYなどは逆に落ちていきやすい状態になります。クロス円は?といえば、ドル売りになってUSD/JPYは落ちるも、ドルストレートは強いので、レンジのような状態になると考えます。こういうドル安のときにアプローチするのならEUR/USD買いやUSD/JPY売りが最適ということです。

というわけで私もEUR/USDをさきほど買いで入って、数日間スイングで持ちたいと思った次第です。ただ、チャートとしてはちょっとわかりにくい場面ではありますね。ブレイク相場の一種なのですが、この4時間足よりも短期の5分のほうがわかりやすい上昇トレンドになっていると思います。また、このチャートが伸びずに落ちた場合の撤退ポイントも考えておく必要があります。どこまで下がったら危ないかを考えましょう。それは4時間足の茶色線を割り込んだら危ないでしょう。こうなったら私は手仕舞いますし、多くの買い手も「これはダメだ」と手仕舞いするから下がることになるわけです。

※チャート設定はアドバンスドホーミングFXに基きます。
(当ブログで紹介しているボリンジャーバンド等はこの教材独自の設定なのでご注意ください)


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| - | - | 02:42 | category: テクニカル解説 |
# テクニカル解説001 調整下落が続いているときのエントリーポイント
今日からたまに現在の4時間足でテクニカルの勉強になりそうなチャートをピックアップで採り上げていこうと思います。テクニカルの設定は自著のアドバンスド・ホーミングFX参照です。ご参考にしてください。

今週はドルストレートが飛び出していきそうな形ではあったのですが、足踏み状態が続いています。EUR/USDの4時間足は、上昇トレンド形ではあるのですが、粘り強く抵抗線に押さえつけられています。このように上昇トレンド中に足踏み状態になる、それを「調整下落」といいいますが、これが始まったら買い手は一旦手仕舞いして、再上昇か急落を待つのがセオリーになります。


このEUR/USDの4時間足チャートは基本的に買いたいのですが、アドバンスド・ホーミングFXの設定では、ピンク線に綺麗に叩かれています。このピンク線がつまり下降トレンドラインでもあって、抵抗線です。ここを抜ければ渋滞地帯を抜けるような感覚でスゥーと上側に進んでいくのですが、昨日も抜けそうなところでテロが起こり足踏み状態が続いています。

買い側でいくのなら上の支持線を抜けたところで入るか、もしくは、RSI30%までタッチするように深く落ち込むところで買うのが優位性があります。 上昇トレンド中にピンク線を割り込んだら 調整下落が始まるので、買い手はまた再上昇のタイミングで買うか、あるいは急落を拾うのがいいのです。支持線を割ると買い手が一旦投げるので、大きく落ち込みます。しかし、落ち込んだところからは「安くなったから買おう」と様子を見ている人が参戦してくるわけで、図のように急反転ていきやすいのです。

反対にこのチャートを売るのはどうでしょうか? ここからの売り側はあくまで短期決戦になります。調整下落を売りで取る場合は、現在抵抗線となっているピンク線が根拠になります。抜かれたら損切しなければいけません。思惑通り急落したら欲張らずにすぐに利食いでしょう。

このチャートで最悪のアプローチは、急落したところで売りを持つことです。前述のように急落したところでは一旦リバウンドが起こるのが常ですから、そういうところはむしろ絶好の買い場になるのです。


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| - | - | 12:35 | category: テクニカル解説 |
# 3月末にかけての相場は、ドル売り展開を想定
日曜日発行したメルマガの冒頭で、
今後の3月末にかけた為替相場のトレードプランを書きました。

先週のECB政策金利発表あたりから、チャートに強いドル売り傾向が感じられてきたので、
月末に向けた戦略としてはドル売り、ドルストレート買いと書きました。

となるとUSD/JPYは弱いですが、
EUR/USDを筆頭にGBP/USDやAUD/USDは上昇しやすい基調にあり、
EUR/JPYやGBP/JPYやAUD/JPY等のクロス円はやや上げ基調になると考えています。

特にFOMCを終えてからは、その値動きが顕著になってきたと思います。
今週からチャンス相場になりそうだと考えているので、
トレードに集中するためブログの更新はお休みします。
また来週頃から再開します。

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| - | - | 19:25 | category: 今日の相場(主にドル円のトレードプラン) |
# FX上達のヒント 資本主義の構造から逃れたら何をする?
以前に構造主義と実存主義の話をメルマガでしたところ
私なりの超訳的な解釈でしたが、若い方からとてもわかりやすく、
初めて哲学に興味を持ったという感想を頂きました。

確かに哲学は、とてもわかりにくいですよね。
学者だけが理解できるような難しい言葉で伝えられるため、
一般人に伝わらず理解されないもったいない学問になっていると思います。

構造主義ひとつとってもやたら学術的で難しい話になり、
ウィキペディアを見てもわけがわからないのですが、
そのエッセンスはとても単純なことです。

そもそも人の世は、常に構造主義と実存主義の相克でできています
基本的には構造が上層で、実存が下層に位置しています


わかりやすい例で説明すると、
昔『バトルロワイヤル』という映画がありました。
これは中学生が殺しあう映画で、当時話題になりました。

全国の中学3年生のクラスから毎年50クラスを無作為に選び
無人島で殺人ゲームを行わせる。
その優勝者は総統から祝され生活保障が与えられる。

といった、まあ馬鹿馬鹿しい設定ではありますが、
この設定がまさに「構造」の部分です。

登場人物はこの馬鹿馬鹿しい設定に一切逆らうことはできず、
真剣にこの世界の中で生き延びなければなりません。
そこには友情があり、裏切りがあり、愛が生まれるでしょう。
キャラクターの行動原理はあくまで上層の「構造」に基づく殺し合いですが、
その中で必死にもがく人間のドラマが「実存」の部分になるのです。

そもそも、こうした不条理な設定を授けて、
その中で登場人物が右往左往するといった物語はたくさんあります。

『バトルロワイヤル』の前は
密室に閉じ込められた人たちの行動を描いた『CUBE』が有名ですし、
さらにたどれば実存主義の作家であるカフカの『城』がその走りと思いますが、
「不条理な世界設定」は、今もなお人気のジャンルというか、
エンターテインメントにおいては王道になっていると思います。

近年では特に若者向けの漫画やアニメなどのサブカル分野で目立ちます。
『カイジ』や『ライアーゲーム』や『ソードアートオンライン』など
いまだエンターテインメント業界においては、
『バトルロワイヤル』みたいなデスゲーム(ゲームに負けると破滅する)
という物語設定が持てはやされているのです。

それは、こうした物語を支持する人たち、
特に構造に逆らう術をまだ持っていない若い世代にとって、
その世界がどこか身近に思えるからかもしれません。
不条理な設定の中に、ある種の共感を覚えるのでしょう。

たとえば『ソードアートオンライン』は、
オンラインRPGの中に閉じ込められたキャラクターが、
敵に倒されると実際に死んでしまうという設定で、
ゲームをクリアしなければ、命は助かりません。
非常に不条理なのですが、その設定の中であがく登場人物を見れば、
どこかリアルな印象を受け、他人ごとではないようにも思えてくるのです。


それはこうした物語が、現実社会を模倣しているからでしょう。

私たちが暮らすリアルの世界も、同じような不条理な世界設定があります。
それは資本主義という構造であり、お金がモノをいう世界です。

よくよく考えてみると、紙切れのために
人生を捧げるなんてとても不条理なことです。

宇宙人が人間を見たら
「なんで、人間はこんなことを人生を賭けて真面目にやっているのだろう?」
と『バトルロワイヤル』を見る人が抱くような感想を持つことでしょう。

お金が重要という資本主義の構造下において、
人間はどのように振る舞うでしょうか?

それはお金のあるなしでモノを判断するようになるでしょう。

お金のために辛い会社勤めをしたりとか、
お金のために愛する人と結婚できなかったりとか、
お金のために人を利用したりとか、裏切ったりとか、
お金で有頂天になったり絶望したりとか、
お金がないために死んでしまうとか、

それは資本主義という構造の中で
右往左往する人間(実存)のドラマが描かれるはずです。

そこでの登場人物の大枠の行動原理(実存)は、
もちろん構造に基づくわけなので、その中にいれば、
お金中心のストーリー展開にならざるをえないでしょう。

それが嫌なら、その構造から出るしかありません
現在は資本主義社会から完全に出ることは困難ですが、
ある程度の経済力を身につければ、その構造から半歩出ることはできます。

それはビジネスの成功者であったり、
十分な年金生活者であったり、
あるいは我々トレーダーであったりするでしょう。

しかし、その構造から出たときに、
皮肉にも存在意義を見失うことにもなるのです。

構造から逃れたときに気づくのです
「さあ、次は何をしたらいいのだろう?」ということに


あなたは十分な年金で遊んで暮らす人を羨ましいと思うでしょうか?
実際それは悠々自適というより、
生きがいを失ったゾンビのような生活かもしれません。

企業戦士が定年したあとにバーンアウト症候群に陥ってしまうがごとく、
皮肉にもあの不条理な構造の中で必死にもがいていたほうが、
なんだか生きていた気がするものです。

そうなることは実存主義を広めたサルトルがすでに予見していました。

個(実存主義)がシステム(構造主義)を打ち破ったあとには、
その個は自由の刑に処せられるのです。

自分の行動原理でもあった構造が取っ払われるとなんでもしていいわけですが、
すると、次は一体何をしたらいいのだろうか?という新たな悩みがやってくるわけですね。

それを「自由の刑」とサルトルは言ったのですが、
トレーダーになるのなら、そのことも考えておく必要があるのです。


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| - | - | 09:40 | category: FX上達のヒント(コラム) |
# FX意識改革115 現象学的トレード思考 その1
トレードで役立つ哲学の話を続けます。

今回のお題は「現象学」です

「現象学」は1900年前後に活躍した
オーストリアの哲学者フッサールが提唱した概念です。
ちなみに有名な哲学者のハイデガーはフッサールの弟子です。

現象学を一言でいえば「物事における普遍的な本質を見抜く方法」です

「学」とついているので学問のような体系的なイメージがありますが、
学問の問のほう「問い」をイメージしたほうがいいでしょう。
すなわち「目の前の現象を問う方法」です。

なぜ現象学が生まれたのか?

フッサールが生きた時代は産業革命や第一次世界大戦の最中にあり、
民衆の生活基盤が激変し、いままでの価値観が崩れていきました。
神の権威は失墜し、民衆は何が嘘か真か、
何を信じればいいのかわからなくなっていた。
まさに混迷の時代です。

それは哲学が発祥した古代ギリシア時代と良く似てもいたのです。

古代ギリシア時代は、前半はギリシア神話に代表されるように
物事には神によって決まった価値観や真理があるとされていました。
人々はみんなひとつの真理を信じて一丸になっていたのです。
だからポリスと呼ばれる都市国家群を何百年もの間保持できたのでしょう。

しかし、次第に人々の間で権力争いが強くなると、
政治家たちは、ライバルを出し抜くために、
その真理や価値を自分の都合ひとつで曲げるようになったのです。

政治家に弁論術を教える者(ソフィスト)がはこび入り、
詭弁を弄して舌先三寸でモノの価値を持ち上げたり貶めたりしていたのです。

その黒を白にする哲学の技を「相対主義」といいます。

相対主義は「物事に真理はない、その価値を定めるのは人それぞれだ」
というような考え方です

しかし、人それぞれの考えが中心の世の中になったら、
人と人の繋がり、絆なんていうものは芽生えるはずもなく、
他人とわかりあうことなんてできないと思いませんか?

それは個人個人が自分勝手に、自分の欲望のままに生きる世の中です。
それでは他国の脅威を跳ね返す強い国家など成り立つはずがありません。

これを憂えた哲学者のソクラテスと弟子のプラトンは、
相対主義への対抗策として「イデア」という概念を作り出します。

これはたとえば円を書こうとすると、誰も完璧な円を書くことはできない。
でも、みんなが完璧な円を頭の中にイメージすることはできる。
なんでそんなことができるのかといえば、
「イデア界」なる所に真実の円が存在しており、
同じものをみんなが見ているからというわけです。

現実では相対主義により物事の真贋がわからなくなっているが、
人間は万人に共通するイデア界を頭に浮かべることができるので、
いつでも物事の普遍的な真理を知ることができるのだと唱えたのです。

このイデア論はインパクトがありました。
ソクラテスはイデア論を通じて、
では、「善」とは一体何か?「徳」とは一体何か?と
全員が頷くことができる真理を説いていったのです。
それは新たな民主主義の幕開けでもありました。


さて、時代は繰り返します・・・

フッサールの時代も冒頭で述べたように
物事の価値観が崩れ、また相対主義が強くなっていました。
そのころはなにせ実存主義の台頭によって
「自分の人生を自由に決めよう!」という考えが強まった時代です。
物事の普遍的な真理やルールなんてものは消し飛ぼうとしていました。

これではいけないと、物事の真理を復権させるために
フッサールはソクラテスのイデア論と似たような方法で、
「現象学」という新たな概念を作り出したのです。

現象学というのは、魔法の眼鏡のようなものです。

この眼鏡をかければ、すべての物事の真理がわかるようになる。
現象学によって嘘を見抜き、真実=本質を知る。
そうすれば人は団結するようになり、迷わなくなるはずだと考えたのです。


私たちの現代も、似たような危機を抱えていると思いませんか?

現代も「物事の価値観や考え方など人それぞれだよ」
という個人主義や相対主義が蔓延しています。
最近その風潮はかなり強まっているといっていいでしょう。

一見すると個人を尊重する素晴らしい考え方に思えますが、
それは個と他を断絶するとてもドライな考え方でもあります。
相対主義を使って自ら人との深いかかわりあいを断ち切り、
自分の殻の中へと逃げているといえなくもありません。

人との価値観の違いを放置しておけば、
それは人との関係が希薄になり、信頼や絆などは生まれようがなく、
結果的に愛や共感が得られない息苦しい世の中になっているはずです。

「人それぞれだ」という相対主義は、
居心地はいいかもしれませんが、それは孤独を生み出す元となり、
真綿でじわじわと首を絞めているようなものかもしれません。

今は実際そんな世の中ではないのでしょうか?

人と人の絆を取り戻すためにも、
再び「現象学」が脚光を浴びる時が来ていると、私は思います。


さて、そのように素晴らしい現象学ですが、残念なことに非常に難解です。
フッサールの原書やウィキペディアを読んでも、難解な用語ばかりが並んで、
何がなんだか意味が分からないと思います。

なので、現象学にまつわる学術的な話は置いておき、
現象学とはどうやるのか、一体それが普段の生活で何の役に立つのか?
というエッセンスだけ抽出して私がわかりやすくご説明します。


まず前提として、

現象学は「対象から万人にとって共通する本質を取り出すテクニック」である

ということを覚えておいてください。

これはテーブルの上にあるリンゴで説明しましょう。

テーブルの上に「リンゴ」があります。
あなたは一目見て、それは「リンゴ」であると確信をします。

しかし、よく考えるとそれはとてもおかしな話ですよね?
だって、あなたは向かいの席からテーブルの上の「リンゴ」を一瞥しただけにすぎません。

あなたは「リンゴ」と思われる物体の前面、前半分しか見ていないのです。
もしかしたら裏に回り込むと「リンゴ」は張りぼてになっていて、
精巧な絵で作られているかもしれません。
もしかしたら二つに割ってみたら卵の黄身のような謎の物体が出てくるかもしれません。

そうした可能性があるのにも拘わらず、
あなたは何一つ疑いもなくそれを「リンゴ」であると確信したのです。

つまり、私たちは、常日頃、目にした物体エックスの一部だけを見て、
シルエットクイズに答えるように、それがなんであるかを判断しているわけですね

とすれば、何をもって、その物体エックスを「リンゴ」と判断しているのか?
そこにはリンゴと認識するに足るパーツ・要素=「本質」が存在しているはずです


その本質を取り出す方法を「現象学的還元」(以下還元)といいます。

そのやり方は簡単です。

対象の物体エックスを観察し、外見的な特徴や、
今まで経験していることからの内面的な特徴を取り出します。

この物体エックスを見た時の外見的な特徴は・・・
「赤くて、まるくて、つやつやしている」でした。

この物体エックスについてあなたが知る内面的な特徴・・・
「食べると甘酸っぱくて、サクサクして美味しい」でした。

つまり、あなたは

「赤くて、まるくて、つやつやしている」
「食べると甘酸っぱくて、サクサクして美味しい」

というものが「リンゴ」であると認識しているわけです。
これが「リンゴ」の本質です。

そして、それに該当する物体エックスが、
表面しか見えていないが、今テーブルの上にある。

それを過去の経験データから照らし合わせて、
あなたは、これは「リンゴ」であると、判断したわけです。



では、もっとわかりやすいところで、
「ドラえもん」を現象学的に還元してみましょう。

この物体エックスの外見的な特徴は・・・

青い、まるい、猫の形をしているが、耳がない。
お腹にポケットがある。ロボットである。

この物体エックスについてあなたが知る内面的な特徴は・・・

いろいろな道具を使って困っている人を助けてくれる、
家に居候している、未来から来た、ネズミに弱い、どら焼きが好き。

これが物体エックスを構成している要素であり、また本質です。

それに合うものを見たときに
「あ、これドラえもんじゃん!」と判断することになるわけです。

まあ、こうしてみれば現象学とは
「この条件を満たすのはなーんだ?」というクイズです。
人気携帯アプリのアキネーターっぽいところがありますね。
そのクイズの問題部分こそが物事の「本質」であるということなのです。
それを対象への観察と経験から抽出していくわけです。


この調子で、次はちょっと難しい「美人」を現象学的に還元してみます。

実はリンゴのような固有名詞があるものは、
還元後は辞書に書いてある内容と同じになります。
そういうものに現象学を使うのはあまり意味がありません。

ここが現象学を理解するための重要なポイントですが、
現象学は「人によって意見が異なるものに対して使う」のです
そこから共通的な本質を取り出すことにこそ現象学の神髄があるのです

さて「美人」の定義は人それぞれ違うでしょう。
とりあえず美人をイメージして、そこから現象学的還元を行います。

その外面的な特徴は・・・

目が大きい、鼻が高い、足が長い、髪が美しい、
背が高い、胸が大きい、ウエストが細い、
声が綺麗、姿勢が綺麗、歩き方が美しい・・・

その内面的な特徴は・・・

教養がある、性格が優しい、思いやりがある、品がある・・・


還元後はこのようなキーワードが出てくるはずです。
それがあなたにとっての美人を構成するキーワード群(本質)です。

このキーワードに当てはまる人物を見かけたとき、
あなたはそれを「美人」であると認識しているのです。
つまり、それはあなたにとっての「美人」の定義でもあります

もちろん、人により何を持って「美人」とするかは違うでしょう。

たとえば「太っている」を「美人」の要素とするマニアックな人もいるはずです。
しかし、それは100人に「美人を構成する要素とは何か?」を聞いて、
統計していけば、きっと少数派になるはずです。
まあ一人か二人かであり、
標準偏差の山形のグラフにすれば、間違いなく端の2σにある要素でしょう。

太っているが「美人」のストライク(本質)であったら、
モデルはみんな太っているはずですし、ダイエットも流行るはずがありません。
だから、「痩せている」こそが美人の本質です。

こうして、アンケートのように該当するキーワードが多い項目を調べ、
統計的に標準偏差の山形の中央部分を見ていくことで、
多数が「美人」であると判断している本質が浮かび上がってきます。

その本質とは、おそらく端正な顔立ちで痩せていて胸が大きくウエストが細く、
かつ頭が良くて優しいという才色兼備というものでしょう。

まさにミスワールドみたいな女性が、大多数の共通項であるはずです。
それは「自分の好みとはちょっと違うけれども、まあ美人には違いない」
というような妥協したようなものにはなるでしょう。

でもそれでいいのです。

万人が頷ける「妥結点」を見出すことが現象学の目的だからです


で、これが一体何の役にたつのか?といえば、コミュニケーションに役立つのですね。
美人について話すときに、共通項があれば話しが通じやすくなるはずです。

還元によって、美人の妥結点を引き出すことができていれば、
大勢の人と美人についての話ができるはずです。

「あの人、美人じゃない?」と尋ねて「うん、そう思う」となれば、
お前話がわかるなと、すぐに他人と共感することができるのです。

また、あなたが女性であるのならば、この美人の本質を手に入れさえすれば、
簡単にモテルようにもなるでしょう。

だから、物事のストライク(本質)を押さえておくことは、
人間関係を円滑にするのに役立ちます。
ビジネスにおける商品開発においても本質をつかんでおきさえすれば、
需要者(客)と供給者(企業)のズレをなくすことができるはずです。


さらに考えを進めていきましょう。

人によって意見がもめるようなもの、
たとえば「政治」や「国」や「宗教」についても還元が可能です。

政治とか国とか宗教の話って人によってイデオロギーが異なり、とにかくもめますよね。
しかし、あなたが美人の還元で説明したように、
そこから全員が妥結できる本質を取り出すことができれば、
いろいろな考えの方とコミュニケーションが取れるようになるはずです。

また「健康」とか「死」とか「後悔」とか「失恋」など身近な悩みでもいいでしょう。
これも還元して本質を取り出せば、中立的な視点に立てるはずです。
そうすれば、いろいろな人の心がわかるようになるはずです。

それって素晴らしいことだと思いませんか?
それこそが現象学を学ぶ意義なのです。


さて、現象学とはなんなのかがわかったところで、ここからが本題です。

現象学はすべての物事において使える技術なのです。
当然、経済学やトレードにも応用可能です。

すなわち目の前にある物体エックスである「相場」を現象学的に還元し、
その本質を取り出せば、相場にいる人たちの考えがわかるようになる
すると、これから上がるのか下がるのかが見えてくるのです

だとすれば、これはとても魅力的なことだと思いませんか?

その「現象学的トレード」の方法について次回解説したいと思います。


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