※次回メルマガ19日発行予定でしたが、
先週は大相場が続き執筆に時間が取れなかったため
週末6月26日に発行いたします。ご登録は下記から。
いままで哲学をテーマにメルマガを書いてきましたが、
今回からは、トレードを冷静に行うための、
メンタル調整のテクニックについて、しばらく書きたいと思います。
今回のテーマは、「トレードのやる気スイッチ」です。
トレードビギナーの内は、練習では冷静にトレードできていたのに、
いざ本番になると、相場の動きに翻弄されて、なかなか練習通りのトレードができない。
いつの間にかだらけたトレードをしてしまい、負けてしまう。
・・・という悩みがあると思います。
それはトレードの「やる気スイッチ」が押されていないからです。
ちょっと前の学習塾のCMで、普段だらけた学生が、
背中の「やる気スイッチ」をパチンと押すと、
猛烈な勢いで勉強を頑張るというものがありました。
この「やる気スイッチ」なるものは実在していて、
このCMのように普段は押しにくい場所にあるのだと私は思うのです。
「やる気スイッチ」は実在する。そんな例をいくつか挙げてみましょう。
あなたは薬学における「プラセボ」(プラシーボ効果)をご存じでしょうか?
薬効的な効果がなにもないのに、
これを飲めば腹痛が治るという薬を患者に飲ませると、実際に腹痛が治ってしまう。
このプラセボ効果は、迷信と思われるかもしれませんが、
現在も新薬の開発には必要不可欠なものです。
新しい薬を開発する場合は、それと比較する薬がないので、
必ず偽薬(プラセボ)を用いてデータを取り、実薬と偽薬の比較をします。
すると何の効果もない偽薬を投与したグループの2割くらいにも、
実薬を投薬したグループと同様の効果が表れるのです。
さらに興味深いのは、実薬の副作用(ノセボ効果)も現れることです。
負の効果も偽薬で再現されてしまうのです。
このプラセボ効果は、科学の発達した現代でも謎のままです。
いまだにどうしてそんなことが起こるのか、ハッキリとはわかっていません。
しかし、実際に効果があるので、試薬段階で活用されているのです。
最近の研究では、どうやらプラセボが、人間が潜在的に持つ免疫力を活性化させる
スイッチ(きっかけ)になっているというがわかってきたそうです。
普段は寝ている免疫群が、プラセボというスイッチ、
いわばきっかけによって叩き起こされる。
それによって、実際に治癒力が向上するということです。
ちなみに副作用が起こるのは、そのスイッチが部分的にオフになるからでしょう。
呑めばせきが出る副作用があると聞けば、
のどの部分の免疫力スイッチがオフになり弱くなる。
すると、偽薬でも実際にその効果が現れるというのも頷けます。
プラセボと同様に人間の潜在能力(パフォーマンス)を引き出す方法は、
スポーツの分野にもあります。
イチローが打席に入る前に、右腕を回し、バットを前に差し出す動作、
五郎丸がフリーキックをするときに忍者のような印を結ぶ動作、
これらはスポーツの世界では「ルーティン」と呼ばれる行為です。
はたから見たら無意味に思える動作ですが、
本人にとってはその動作を行うことによって、
心を落ち着かせて集中力を高めることができる。
それは練習でやったことを具体的に思い起こすきっかけになり、
本番でも練習と同等以上のパフォーマンスを引き出すための大切な儀式なのです。
ルーティンの動作がないと、本番で頭が真っ白になり、
練習でやったことを全部忘れてしまうことにもなりかねません。
つまり、ルーティンによって「やる気スイッチ」をオンにするのです。
私の個人的な経験でも、ジョギングをする前に決まったウェアに着替えるのですが、
そのウェアを見ただけで、パブロフの犬のような条件反射で、運動モードになります。
体の温度が自然に上がって、いままでだるかったり眠かったりしたのが吹き飛んで、
体が活発になるのを実感します。単純に言えば気合が入ります。
そういう経験って、みなさんにもありますよね?
漫画の世界でも「潜在能力の発現」は、いつでも人気のテーマです。
主人公が絶体絶命のピンチに陥ったときに潜在能力が解き放たれて、
圧倒的な能力を発揮して敵を倒す。
現在でもこのようなスタイルの漫画がやまほどあることは裏返せば、
実際に人間にそういうことがあるということの現れでしょう。
そんなことが現実に起こらなければ、読者の共感を呼ぶことなんてできないわけですから、
読者にはそういう経験(潜在能力を発現させること)がおぼろげながらもあるのです。
『キン肉マン』ではそれを「火事場のクソ力」と呼んでいました。
人間は元々エネルギーを消費しないように、
自律神経によって本来の力をセーブしているといいます。
常に100%の力を出したら骨は折れやすくなるし、ケガもしやすくなります。
だから、そうならないように日ごろは自律神経がリミッターをかけているのです。
しかし、実際の火災現場のような危機的な状況に陥ったときは、
脳にアドレナリンが分泌されて、そのリミッターが解除される。
すると、普段出せないような馬鹿力や集中力が発揮できる。
つまり、人間の潜在能力というのは実在しており、
なんらかのきっかけで発現することができるのです。
さて、トレードでうまく勝てない、ルールを守れないという方は、
この潜在能力を発現させる「やる気スイッチ」を
押すことができていないからかもしれません。
もともとトレードで勝てる力はあるのに、スイッチがオフになっているから、
集中力がでない、真剣にやれない、単純に言えば本気が出せていない。
勝てるトレーダーは、そのスイッチを押すために、
知ってか知らずか、プラセボ効果やルーティンを積極的に取り入れているはずです。
いくら脳内で「おれはやるぞ! できるぞ!」といったところで、
そのきっかけがなければ、スイッチはオンにならないのです。
あるトレーダーは、毎朝これからトレードする前に、
ルールを書いたトレードの誓約書をプリントアウトして、
それを守るためにサインすることを繰り返す。
その「儀式」によって、練習でやったことを本番で忘れないようにして、
練習以上のパフォーマンスを引き出すことができるといいます。
そんな大げさなものではなくても、朝決まった時間に起きて、
コーヒーを入れて日経新聞に眼を通したときにスイッチがオンになる人もいれば、
パソコンを立ち上げてFX業者のログインパスワードを入力しただけで、
スイッチがオンになる人もいます。
みなさんも会社に行って「おはようございます」とあいさつをすれば、
体が活性化する(気合が入り)、集中力が上がり、自然と仕事モードになるでしょう?
この場合は「あいさつ」が「やる気スイッチ」をオンにする儀式的な役目を担っているわけです。
ただ脳が「やるぞ! 集中するぞ!」と念仏のように唱えたところで、
潜在的に眠っている集中力やひらめきなんていうものは一向に起きてくれない。
それを起こすにはパブロフの犬のような条件反射が必要で、
具体的にはきっかけを呼び起こす儀式的な動作や習慣が必要になってくると私は思うのです。
さて、トレーダーの「やる気スイッチ」を押すには、
「トレードの成績まとめ」が良い儀式になると私は思います。
その日のトレードの結果をエクセルでまとめ、
一晩寝てから次の日の朝にそのデータを振り返る。
その日に振り返るのではなくて、次の日に振り返るのは、頭を冷やすためです。
時間をおいてから見直すと、客観的に冷静な評価ができるでしょう。
そして昨日良いトレードができていれば、今日も良いトレードがやれる、
というモチベーションが生まれるはずです。
ちなみに「良いトレード」というのは、必ずしも勝てたトレードではありません。
ルールに準じて、利を取りこぼさずにまた強欲にならずにしっかりと取れたり、
危険を察知して早々と手仕舞いができたり、
じっくりとタイミングを計ってからエントリーができたり、
というように相場に翻弄されずに自分のトレードスタイルを貫くことができた。
それがまさに「良いトレード」です。
私の場合はこうした良いトレードの記録を振り返ったときに、
「やる気スイッチ」がオンになります。
今日も焦らず欲張らずに冷静にがんばろうという気になれます。
さて、あなたはどのタイミングで、
トレードの「やる気スイッチ」がオンになるでしょうか?
あなたがトレードのモチベーションをアップさせる瞬間はどこにあるかを考えてみて、
それを見つけたらその行為をルーティンのように儀式化してみましょう。
これはいつでもトレードを冷静にやるために、自分なりの「型」を作るということです。
調子が悪くても、いつもその「型」から入ることを考えてみてください。
「それさえやっておけば、冷静にトレードができる」
「それさえやっておけば、いつでも調子よくできる」
「それ」というのが、プラセボ効果における偽薬的な役目になるのですが、
迷信というわけでもなく、実際にトレードを調子よくやるための
メンタルマネージメントになるはずです。
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